航空会社の競争は激しく、近年は従来通りのサービスを提供するレガシーキャリアとサービスを極力削り、その分航空券の価格を安く抑えるローコストキャリア(LCC)という2つの勢力に分かれました。
日本ではローコストキャリアのことを格安航空会社とも呼んでいます。
日本国内の主要航空会社をレガシーキャリアとローコストキャリアに分けると以下の表になります。
レガシーキャリア | 全日空(ANA)、日本航空(JAL)
スターフライヤー、フジドリームエアラインズなど |
ローコストキャリア(LCC) | スカイマーク、エアアジア・ジャパン、ジェットスタージャパン、春秋航空日本、バニラエア、ピーチ・アビエーションなど |
これに日本に就航している海外の航空会社の数も加えると非常にたくさんの会社が乗り入れていることが分かります。
特にローコストキャリアの勢いは激しく、何社も日本路線を開設していますし、今後も増えていくと見込まれています。
LCCのフライトでマイルを貯めることができるか
格安航空会社ではマイレージクラブを持っているところは少ない
LCCは、独自路線を歩んでいることが多く、レガシーキャリアのようにマイレージクラブを持って、マイルを貯めていくことができるところは少ないです。
また、他の航空会社と提携してポイントを貯めることができるケースも稀です。
しかし、マイレージ制度に似たようなものはあります。
「ポイント制度」と呼ばれるもので、搭乗回数や距離によってポイントをもらうことができ、特典に変えるシステムを採用している会社はいくつかありますので、後述します。
国内航空会社のマイルを唯一貯められるジェットスター
ジェットスター・ジャパンはJALと提携関係
マイルを貯めることができないLCCの中で、唯一マイルを貯めることができる航空会社がジェットスター・ジャパンです。
オーストラリア発祥の航空会社で、親会社はカンタス航空です。
この会社が日本で展開しているのがジェットスター・ジャパンで成田空港や中部国際空港、関西国際空港を中心に全国に展開しています。
そんなジェットスター・ジャパンは日本航空(JAL)と提携関係にあるため、ジェットスターの飛行機に乗ったときにはマイルを貯めることができる可能性があります。
ただし、JALマイレージバンクにマイルを加算することができるのは「ちゃっかりPlus」と「しっかりMax」のオプションを利用したときのみです。
加算されるマイルは区間マイルの25%になります。
【獲得マイル数】 東京→那覇
984マイル(区間マイル)×25%(マイル加算率)=246マイル
246マイルが東京-那覇間でJALマイレージバンクに加算できるマイル数になります。
JAL便名で搭乗の場合にはJALの加算率に準じる
ジェットスターでは、JALとの共同運航便を飛ばしていることもあるため、JAL便として予約をすることもできます。
この場合、機体やサービスはジェットスターの規定に準ずることになりますが、マイルに関してはJALの航空券と同じ扱いでJALマイレージバンクに加算することができます。
要注意のジェットスターの扱い
JALマイルを貯めることができるのは「ジェットスター・ジャパン」であり、それ以外のジェットスターグループは、提携関係にないのでJALマイルを貯めることはできません。
例えば、日本とオーストラリアを結んでいるジェットスター(便名がJQ)は、どの運賃で乗ってもJALマイルにマイルを貯めることができません。JALとコードシェアをしており、なおかつJALの便名で航空券を発券したときにはJALマイルの加算対象となります。
他にもジェットスターアジア(便名は3K)、ジェットスター・パシフィック(便名はBL)も加算対象外なので注意が必要です。
日本国内線であればマイルが貯まるスカイマイル(デルタ航空)
毎年継続の「ニッポン500マイルキャンペーン」を行っているのが、アメリカのデルタ航空のマイレージクラブ「スカイマイル」です。
マイルを貯めている人にはおなじみのキャンペーンですが、簡単に説明すると
「日本の国内線に搭乗すれば、1搭乗につき500マイルプレゼント」
ということです。
日本の国内線に搭乗すればよいので、航空会社はレガシーキャリアでもLCCでも関係ありません。
どの航空会社に搭乗しても1搭乗で500マイル加算することができます。
ただし、いくらでも加算することができるわけではなく、1年間(4月から翌年3月)までに一般会員の場合には、10フライト(最大5,000マイルまで)、メダリオン会員の場合には40フライト(最大20,000マイルまで)加算することができます。
このキャンペーンの良いところは、他のマイレージクラブに加算していても、加算できる「二重加算可能」というところです。
例えば、ジェットスターの航空券を利用してJALマイルを加算した航空券の搭乗半券をFAXまたは郵送で指定の応募用紙と共に送ると、スカイマイルの口座に500マイル加算されます。
スカイマイルは1度でも加算があれば、マイルの有効期限が無期限になるので期限を気にすることなく貯めることができます。
LCCの航空券をマイルで手に入れる
ジェットスターはJALマイルで可能
格安航空会社の航空券をマイルで手に入れることもできます。
代表的なものがJALマイレージバンクのマイルを利用してジェットスター・ジャパンの特典航空券を手に入れる方法です。
JALのホームページから簡単に申し込みをすることができるようになり、手軽に発券できます。
必要なマイル数は区間によって異なり以下の表のようになります。
区間 | 必要マイル数 | 対象路線 | |
国際線 | 21,000 (10,500) |
東京(成田) 大阪(関西) |
台北 |
香港 | |||
マニラ | |||
東京(成田) | 上海 | ||
名古屋(中部) | 台北 | ||
マニラ |
区間 | 必要マイル数 | 対象路線 | |
国内線 A区間 | 10,000 (5,000) |
東京(成田) | 大阪(関西) |
大阪(関西) | 福岡 | ||
熊本 | |||
高知 | |||
国内線 B区間 | 12,000 (6,000) |
東京(成田) | 札幌 |
福岡 | |||
沖縄 | |||
高松 | |||
高知 | |||
松山 | |||
大分 | |||
長崎 | |||
熊本 | |||
宮崎 | |||
鹿児島 | |||
宮古(下地島) | |||
大阪(関西) | 札幌 | ||
沖縄 | |||
名古屋(中部) | 札幌 | ||
沖縄 | |||
福岡 | |||
鹿児島 |
同じ区間のJAL便を発券するよりは、少ないマイル数で特典航空券を発券できるので少しでもマイル数を少なく旅行したい場合には、ジェットスターの特典に交換するのも1つの方法です。
ANAマイルならバニラエアの特典航空券に
ANAマイレージバンクのマイルを利用してもLCCの航空券に交換することができます。
交換できるLCCは、ANAが傘下にしている格安航空会社のバニラエアです。
こちらも予約の方法は簡単で、ANAのウェブサイトからログインし、専用のページに飛んで予約をします。
必要なマイル数は、以下の通りです。
【2019年3月30日搭乗分まで】(単位=マイル)
対象路線 | 必要マイル数 | ||
片道1区間 | 単純往復2区間 | ||
国内線 | 成田 – 札幌 | 5,000 | 10,000 |
成田 – 沖縄(那覇) | 6,000 | 12,000 | |
成田 – 奄美大島 | 5,000 | 10,000 | |
成田 – 函館 | 5,000 | 10,000 | |
関空 – 奄美大島 | 5,000 | 10,000 | |
成田 – 石垣 | 8,500 | 17,000 | |
沖縄(那覇)- 石垣 | 5,000 | 10,000 | |
国際線 | 成田 – 台北 | 8,500 | 17,000 |
成田 – 香港 | 8,500 | 17,000 | |
成田 – 高雄 | 8,500 | 17,000 | |
関西 – 台北 | 8,500 | 17,000 | |
沖縄(那覇) – 台北 | 8,500 | 17,000 | |
福岡 – 台北 | 8,500 | 17,000 |
2019年3月31日から
対象路線 | 必要マイル数 | ||
片道1区間 | 単純往復2区間 | ||
国内線 | 成田 – 札幌 | 4,000 | 8,000 |
成田 – 沖縄(那覇) | 4,800 | 9,600 | |
成田 – 奄美大島 | 4,000 | 8,000 | |
関空 – 奄美大島 | 4,000 | 8,000 | |
成田 – 石垣 | 6,800 | 13,600 | |
沖縄(那覇)- 石垣 | 3,500 | 7,000 | |
国際線 | 成田 – 台北 | 6,800 | 13,600 |
成田 – 香港 | 6,800 | 13,600 | |
成田 – 高雄 | 6,800 | 13,600 | |
関西 – 台北 | 6,800 | 13,600 | |
沖縄(那覇) – 台北 | 5,950 | 11,900 | |
福岡 – 台北 | 6,800 | 13,600 |
通常、東京から札幌までANAの国内線特典航空券で往復すると15,000マイル(レギュラーシーズン)かかるため、往復10,000マイルで済ませることができるバニラエアの特典航空券を手に入れるのはメリットがあります。
ただし、バニラエアとピーチ・アビエーションが経営統合することになり、バニラエアの運航は、2019年10月26日で終了となります。また、サマーダイヤ期間(2019年3月31日〜10月26日)に、路線や便数は段階的に縮小する予定なので注意が必要です。
デルタのスカイマイルはスカイマークの航空券と交換可能
「ニッポン500マイル」でマイルを貯めることができるデルタ航空のスカイマイルですが、日本の航空会社ではないので使い勝手が悪そうなイメージがあります。
しかし、スカイマイルでも日本の航空会社の無料航空券と交換可能です。
「スカイマイルの提携クレジットカードを保有している」または「スカイマイルのメダリオン会員」という条件がありますが、スカイマークにマイルで乗ることができます。
必要マイル数は以下の表のとおりです。
区間 | 必要マイル(往復) |
羽田-神戸 神戸-茨城 神戸-鹿児島 神戸-長崎 神戸-那覇 福岡-那覇 |
15,000マイル |
羽田-福岡 羽田-鹿児島 羽田-長崎 羽田-那覇 羽田-新千歳 茨城-新千歳 神戸-新千歳 中部-那覇 中部-新千歳 |
20,000マイル |
日系の航空会社に比べるとやや必要マイル数が多いですが、元々マイルを二重取りすることができるので、こつこつと貯めていきたい人向きの使い方です。
往復でしか発券できなかったり、発券後のキャンセルができない、マイルを使った航空券をを予約できない「ブラックアウトデー」があったりするなど制約が多いので使う時には注意が必要です。
ポイント制を採用しているLCCは多い
格安航空会社でも大手航空会社と同じように、利用者に対して何らかの還元をしているところがあります。しかし、マイルという制度を利用せずポイントという独自の制度を使い、自社でしか利用できないものが多いです。
格安航空会社の雄 ピーチ・アビエーションはピーチポイント
ピンク色の期待が特徴で関西国際空港を中心に展開しているピーチ・アビエーションでは、独自のポインプログラムとしてピーチポイントを採用しています。
ピーチポイントは、フライトによって貯まるものではなく、航空券の払い戻し、ポイントギフト、ふるさと納税の返礼品などで付与されます。
ポイントは、航空券の支払いや座席のアップグレード、受託手荷物の料金支払いに使うことができます。
外資系でポイント採用も使いやすくはない
他のLCCにおいてポイント制を採用しているのが、エアアジアジャパンの「BIGポイント」と春秋航空日本の「スプリングパスポイント」です。
どちらも外資系航空会社のポイントだけあって、その会社でしか利用することができません。
エアアジアの場合には、日本国内線だけでなく、日本に就航しているエアアジアの航空券購入金額に対してもポイントを貯めることができます。
貯めたポイントは、航空券の購入代金の一部に充てることができます。
ただし、日本人に使いやすいかというと金額がマレーシアの通貨単位ベースであったり、インターネットではなく専用のアプリで予約をしなければいけなかったりと不便なところが多いです。
スプリングパスポイントは、春秋航空のXクラス以上の航空券を購入するとポイントを貯めることができます。
ポイントの加算は、航空券の種別によって異なり、運賃額が高いほどポイントが貯まるようになっています。
貯めたポイントは、一定以上になると航空券やスプリングモールで取り扱っている商品と交換することができます。
まとめ
- LCC(格安航空会社)は基本的に独自路線を進んでいるのでマイレージ制度を持っているところは少ない。
- 日本航空と提携関係にあるジェットスター・ジャパンは、航空券の種類によってJALマイルを貯めることができるし、JALマイルを使ってジェットスター・ジャパンの航空券に交換することができる。
- バニラエアもANAマイルを使って特典航空券の発券が可能だが2019年10月で会社が統合されるので、それまでしか使うことはできない。
- その他の格安航空会社では独自のポイント制度を利用しており、他の航空会社との連携も少ないので、特定のLCCを頻繁に利用する人向けのプログラムになっている。
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