オーストラリアを代表する航空会社である「カンタス航空」
尾翼に描かれているカンガルーのマークからもオーストラリアを連想させる航空会社です。
1920年設立の古い歴史を持っている航空会社で、オーストラリアのシドニーを中心にメルボルンやパースから世界中に路線を展開しています。
日本には成田空港と羽田空港、関西国際空港に乗り入れを行っており、かつては中部国際空港にも就航していました。2019年冬からは新千歳空港にも就航を予定しています。また、カンタス航空の傘下には格安航空会社として日本にも就航している「ジェットスター・グループ」があります。
そんなカンタス航空のマイレージプログラムは「フリークエントフライヤー」です。では、どんなマイレージプログラムなのか、またどうしたらマイルを貯めたり、使ったりすることができるのかを徹底解説します。
フリークエントフライヤーの紹介
フリークエントフライヤーの概要
カンタス航空の運営しているマイレージクラブ「フリークエントフライヤー」は、年会費無料のマイレージクラブです。日本人も簡単に入会することができ、ホームページから登録可能です。マイルの有効期限は18か月(1年半)と非常に短いのですが、その間にマイルの増減があれば、そこからさらに18か月の延長が行われます。したがって、1年半の間に常に増減があれば実質無期限でマイルを貯めることができます。また、家族間でマイルを共用することができ、マイルの移動も可能です。
日本国内線でも貯まる使える
カンタスのフリークエントフライヤーは、オーストラリアの航空会社なので日本人にはあまり利用価値がないと考えられるかもしれませんが、実は日本国内を飛んでいる「ジェットスター・ジャパン」、日本と東南アジア諸国を結んでいる「ジェットスター・アジア」これらの航空会社もカンタス航空のグループ傘下の会社です。
つまり、日本国内線でジェットスターを利用している人であればフリークエントフライヤーに入会する価値は十分にあり、マイルを貯めるだけでなく、マイルを使って特典航空券に交換することも可能です。
フリークエントフライヤーを貯める(フライト編)
カンタス航空のフライトで貯める
フリークエントフライヤーはカンタス航空のマイレージプログラムなので、基本的にはカンタス航空のフライトで貯めることになります。カンタス航空のマイル加算率は、他の航空会社のマイレージクラブとは少し異なる制度を使っており、「飛ぶ区間のマイル数」に応じてマイルが一律に加算されるシステムです。当然フライトの距離が長くなればなるほど多くのマイルが加算されることになりますが、飛行マイル数と加算マイル数には違いがます。例えば、日本とオーストラリアを結ぶ便では以下の表のように運賃種別ごとに定められています。
【日本-オーストラリア間 マイル加算数】
航空券種類 | 運賃種別 | 加算数 |
割引エコノミー | N,O,Q | 2,600 |
エコノミー | G,K,L,M,S,V | 3,900 |
フレキシブル・エコノミー | B,H,Y | 5,200 |
割引プレミアムエコノミー | T | 5,200 |
プレミアムエコノミー | R | 6,500 |
フレキシブル・プレミアムエコノミー | W | 7,200 |
割引ビジネス | I | 7,800 |
ビジネス | D | 8,450 |
フレキシブル・ビジネス | C,J | 9,100 |
ファースト | A,F | 設定なし |
他の航空会社のマイレージクラブと同じように、予約クラスが高くなればなるほど多くのマイルを獲得することができます。カンタス航空は長距離便が多く、日本人はあまり多く使わないかもしれませんが、オーストラリアと北米、ヨーロッパを結ぶルートを利用すれば、大量のマイルを獲得することができます。
提携航空会社の利用でマイルを貯める
カンタス航空は世界的な航空連合である「ワンワールド」に所属しているため、ワンワールドに加盟している航空会社を利用してもマイルを貯めることができます。日本航空(JAL)もワンワールドに所属しているので、日本航空を利用してもフリークエントフライヤーにマイルを貯めることができます。
【JAL航空券種類とフリークエントフライヤー加算率】
運賃名 | 予約クラス | 加算率 |
ファーストクラス運賃 | F,A | 150% |
ビジネスクラス運賃 | J,C,D,I | 125% |
エコノミークラス | Y,W | 100% |
エコノミークラス割引運賃Ⅰ | R,T,B,H | 70% |
エコノミークラス割引運賃 | K,M,V,L | 50% |
JALの国際線が基本になりますが、予約した運賃に合わせてマイル加算することが可能です。
【ワンワールド加盟航空会社】
アメリカン航空・ブリティッシュエアウェイズ・キャセイパシフィック航空 フィンエアー・イベリア航空・日本航空・LATAM航空・マレーシア航空 カンタス航空・カタール航空・ロイヤルヨルダン航空・S7航空 スリランカ航空・フィジーエアウェイズ・ロイヤルエアモロッコ |
上記の航空会社を利用してもマイルを貯めることができますが、加算率に関しては、それぞれの航空会社によって異なるので、事前に確認することが必要です。
さらに、カンタス航空が独自に提携している航空会社もマイル加算をすることが可能です。
【カンタス航空提携エアライン】
南アフリカ航空・中国東方航空・ニューギニア航空・エミレーツ航空 エアロペリカン航空・エアリンガス航空・エアーノース航空・バヌアツ航空 アラスカ航空・ブリンダベラ航空・エルアルイスラエル航空・ジェットエアウェイズ |
スターアライアンス加盟航空会社やアライアンスに加盟していない航空会社などが提携航空会社に含まれています。マイル加算率やマイル加算対象となる航空券は航空会社によって異なります。
ジェットスター・ジャパンを使ってマイルを貯める
日本人にとって一番、フリークエントフライヤーを貯めやすいのが「ジェットスター・ジャパン(GK)」を利用したフライトです。
成田空港をハブに、北は北海道から南は沖縄まで就航している航空会社であり、数多くの路線を運航しています。日本に数あるLCCの中でもピーチと並ぶ路線規模です。
そんな、ジェットスター・ジャパンはカンタス航空の子会社グループの1つであるため、カンタス航空と深い関係にあります。よって、ジェットスターのフライトでカンタス航空のマイルを貯めることが可能です。
マイルを貯めることができる航空券は、全てではなく「Starter Max運賃」と「Starter Plus運賃」です。ジェットスターでは、ベースの運賃にオプションを追加して航空券の種別が決定するので、格安のチケットであってもオプションで「Starter Plus運賃」を選択すればマイル加算対象となります。Plus運賃の場合、オプション代金は1,400円程度の追加で、マイル加算の他に座席指定と10kgまでの預け入れ手荷物代金が含まれています。オプションを選択すると「カンタスフリークエントフライヤー」や「ジェットスター・フライトバウチャー」を選択することができ、マイルを貯めたい場合には前者を選択します。基本的には距離で加算マイルが決まりますが、最低マイルが800マイルに設定されており、東京と大阪のようにフライト距離が300マイル程度でも、800マイル加算されます。
ジェットスター・グループで貯める
ジェットスター・ジャパンでマイルを貯めることができると紹介しましたが、カンタスグループでは他にも以下のようにグループ企業を保有しています。
会社名 | 主な運航区間 |
ジェットスター | 成田~ゴールドコースト・ケアンズ・メルボルン 関西~ケアンズなど |
ジェットスター・アジア | 関西~クラーク・台湾・シンガポール 那覇~シンガポールなど |
ジェットスター・パシフィック | 関西~ハノイ・ダナン 香港~ダナンなど |
上記のグループ会社運航路線を利用してもフリークエントフライヤーにマイルを貯めることができます。マイル加算になるのは、ジェットスター・ジャパンの時と同じようにオプションを購入して「Starter Plus」または「Starter Max」運賃、ビジネスクラスの場合には、「Business Max」運賃を利用した時です。システムはほぼ共通なので分かりやすいです。マイル加算率も距離で決まりますが、400、800、1400(ビジネスクラス限定)と路線ごとにミニマムマイルが設定されています。
フリークエントフライヤーを貯める(生活編)
クレジットカードで貯める
カンタス航空のフリークエントフライヤーは、クレジットカードを利用しても貯めることができます。公式のクレジットカーとしては「Qantas Premier Credit Cards」 がありますが、オーストラリア在住でなければクレジットカードを発行することができません。さらに口座引き落としに関してもオーストラリアの銀行口座が必要になるので日本人にとってはハードルが高いです。
では、全く日本人が使えるカードがないのかというと「あります。」
このサイトでも何度も登場している「SPGアメックス(スターウッド・プリファードゲスト・アメリカンエキスプレス)」です。
マリオットグループが発行しているホテル系クレジットカードですが、このカードの最大の魅力である「40社以上の航空会社のマイレージプログラムにポイント移行可能」が利用できます。この提携している40社のマイレージプログラムの中にカンタス航空のフリークエントフライヤーが含まれており、マリオットボンヴォイポイント3ポイントを1マイルに交換することができます。これは他のマイレージプログラム(例 ANAマイレージクラブやJALマイレージバンクなど)に移行するのと同じ加算率です。マイル移行するときに60,000ポイントを移行すれば5,000マイルのボーナスが付与されるので、100円のカード利用で1.25マイル加算することが可能です。
提携パートナー企業で貯める
フリークエントフライヤーは、フライトだけでなく、カンタス航空と提携している企業を利用することでも貯めることができます。
提携パートナー企業は以下の通りです。
企業名 | サービス内容 | URL |
Earning Points with Hotel Partners | ホテル検索・予約 | https://www.qantas.com/fflyer/dyn/partners/hotel |
Car Rentals | レンタカー | https://www.carrentals.com/ |
Shopping | 買い物 | https://shopping.qantas.com/ |
他にも数多くのパートナー企業があり、旅行や駐在者にとっても使いやすいサービスとなっています。これらの企業を積極的に利用することでマイルを稼ぐことが可能です。
家族間でポイント移行をして貯める
フリークエントフライヤーでは、家族間においてマイルを共有することができます。
移行することができるマイルは、1回につき5,000~600,000マイルまでで、1年間で600,000マイルが上限となります。旅行などをする時に家族バラバラに貯めておき、利用するときには1つにまとめて利用するということも可能です。
マイルを購入する
このマイレージプログラムでは、マイルを購入することも可能です。価格は500マイル単位で、500マイルが20オーストラリアドル(約1,500円)になります。最大150,000マイルまで購入することができますが、入会後すぐに購入することができず、入会後30日を経過したところから購入可能になります。
特典航空券までわずかにマイルがほしい、マイルの有効期限を延長させたいというときに便利です。
フリークエントフライヤーの使い方
フライトで使う(カンタス航空・提携航空会社)
カンタスのフリークエントフライヤーは、マイルを利用して特典航空券に交換することができます。カンタス航空のフライトはもちろんのこと、子会社であるジェットスター航空、日本で運航しているジェットスター・ジャパンの航空券へも交換可能です。
さらに提携航空会社を利用すれば、ワンワールドの加盟航空会社の航空券も発券することができ、特に魅力的なのが、日本航空の日本国内線もその対象になっているという点です。
【フリークエントフライヤーを利用して日本航空国内線を発券する場合の必要マイル数】
条件 | 必要マイル数 | 代表路線 |
合計の飛行距離が600マイル以内 | (片道)10,000マイル (往復)20,000マイル |
羽田~伊丹・小松・山形 伊丹~福岡・松山など |
601マイル以上、1,200マイル以内 | (片道)14,000マイル (往復)28,000マイル |
羽田~福岡・新千歳など 伊丹~鹿児島・新千歳など |
カンタス航空を含めて、提携航空会社を利用する場合には、航空会社の種類によって「チャート1」と「チャート2」に分かれており、それぞれ必要マイル数が異なります。
○チャート1適用航空会社
カンタス航空・アメリカン航空・エミレーツ航空・フィジーエアウェイズ バヌアツ航空 |
【チャート1 必要マイル数】
カンタス航空のオーストラリアと日本を結ぶフライトの場合、片道が約5,000マイルとなるので、「4,801~5,800マイル」が適用となり、エコノミークラス往復で72,000マイル、ビジネスクラスで144,000マイル、ファーストクラスで216,000マイルが必要になります。(片道利用の場合は半分)
○チャート2適用航空会社
日本航空・ブリティッシュエアウェイズ・キャセイパシフィック航空・フィンランド航空 マレーシア航空・カタール航空・S7航空・スリランカ航空・アリタリア航空 中国東方航空・エアベルリン・イベリア航空・LATAM航空・ロイヤルヨルダン航空 南アフリカ航空・ニューギニア航空・アラスカ航空・エルアルイスラエル航空 ジェットエアウェイズ |
【チャート2 必要マイル数】
例えば、日本航空を利用して台北まで行くと区間マイルは1,330マイル。
したがってエコノミークラスで往復すると40,000マイル、ビジネスクラスで76,000マイルとなります。同区間を運航しているキャセイパシフィック航空を利用しても必要マイル数は同じです。
フライトで使う(ジェットスターグループ利用)
日本国内で運航しているジェットスター・ジャパンを利用した場合を含めて、ジェットスターグループを利用すると以下のような必要マイル数になります。
日本国内線でも利用することができ、日本航空を利用するよりも必要マイル数を少なく済ませることができるので便利です。
カンタス・エニシーアワードを使う
カンタス航空のフリークエントフライヤーでは、特典航空券に交換する際に決められた必要マイル数よりも多くのマイルを支払うことによって通常有償航空券用の座席を特典航空券で抑えることができる「エニシーアワード」という制度を設けています。必要マイル数は季節や混雑状況によって異なり、通常の必要マイル数の1.2倍から2倍程度になることが多いです。この制度は、カンタス航空とジェットスターでの運航便に限定されているので、提携航空会社では利用することはできません。
座席のアップグレードをする
フリークエントフライヤーのマイルを利用すれば、国際線や国内線の座席のアップグレードをすることができます。アップグレードの内容と保有している航空券によって必要マイル数は変わり、以下の表のようになります。
格安のチケットではアップグレードすることができないケースもあるので注意が必要です。
ホテルの支払いに使う
Qantas.comでホテルを予約した場合には、ホテル代金の支払いにマイルを使うことができます。
利用することができるホテルは限られるものの、マイルが余ってしまい、期限内に使い切りたいときには便利です。
まとめ
- カンタス航空のフリークエントフライヤーは、カンタス航空やジェットスターグループの利用でマイルを貯めることができる。さらにワンワールドメンバーに所属している日本航空のフライトでもマイルを貯めることができる。
- フライト以外ではクレジットカードでマイルを貯めることができるが、その際には「SPGアメックス」を利用すると100円で1.25マイル加算することが可能。
- フリークエントフライヤーのマイルを使えば、カンタス航空のフライトはもちろんのこと日本国内線を運航しているジェットスタージャパンや日本航空の国内線の特典航空券にも交換することができる。
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